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建設業許可がよくわかる|申請の手続きや要件を解説します。

この記事は約10分で読めます。

Q&A(質問)

建設業法の違反事例
公共工事を受注するためには?
軽微な建設工事の判断基準について

 

建設業許可ってなに?

 

そもそも建設業許可って何?

分からないから教えてほしい。

行政書士
行政書士

承知いたしました。

確かに難しそうな言葉ですね。

今から分かりやすく説明していきます。

 

このページでは次のポイントを説明します。

それでは説明していきます。

 

建設業法について

まず、建設業を行うに当たって、建設業法という法律があります。
次の第1条と第3条を見てください。

 

第1条

この法律は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ることによつて、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進し、もつて公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。

(引用元:建設業法、装飾は引用者)

 

第3条

建設業を営もうとする者は、次に掲げる区分により、この章で定めるところにより、二以上の都道府県の区域内に営業所(本店又は支店若しくは政令で定めるこれに準ずるものをいう。以下同じ。)を設けて営業をしようとする場合にあつては国土交通大臣の、一の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業をしようとする場合にあつては当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事許可を受けなければならない。ただし、政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は、この限りでない。

(引用元:建設業法、装飾は引用者)

 

第1条では、目的が記載されています。
第3条では、第1条の目的を受けて、建設業許可を取得しなければならないことが記載されています。

第3条では、
政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は、この限りでない。
と許可を受けなくても良い条件が記載されています。

 

具体的にまとめると次のようになります。

許可を取得しなくてもよい工事

<建築一式工事の場合>
工事1件の請負代金の額が1500万円未満(税込)の工事または延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事

<建築一式工事以外の場合>
工事1件の請負代金の額が500万円未満(税込)の工事

 

法律からわかるポイント!

第1条と第3条の流れを見てみると、次のことが分かります。

建設業許可を
取得することが「原則」
不要となるのは「例外」

 

うちは小さい工事しかしないから、

許可はいらない!

 

という事業者さまがいらっしゃいます。しかし、正しくは次の表現となります。

 

行政書士
行政書士

うちは小さい工事しかしないから、

許可を取得しなくてもよい。

 

意識の問題ですが、「いらない」ではなく、「取得しなくてもよい」です。

つまり、事業者さまの意思ではなく、法律によって「政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者」に限り除外されているということなのです。

そのため、「政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者」に当てはまらなくなると、自動的に建設業許可の取得が必要になります。

それでは、次に、少し法律から離れて、建設業許可が必要になるのはどのような場合かを解説します。

 

許可が必要な3つの理由

 

法律の意味は何となく理解できた。

法律以外で、許可が必要になることってある?

行政書士
行政書士

許可を取得する理由は「三つ」あります。

この「三つ」はとても重要なので、必ず理解しておいてください。

 

許可を取得する三つの理由(法律以外の理由)

  1. 公共工事参入
  2. 元請からの要請
  3. 安定経営

それでは、具体的に見ていきましょう。

 

公共工事参入

 

公共工事なんて必要ないでしょ。

行政書士
行政書士

いえいえ。

今は必要ないかもしれませんが、

公共工事に参入できる権利を確保しておくことは大切です。

 

公共工事は定期的に発生する事業です。
近年は箱物が敬遠されていますが、それでも、道路や植樹、公共建物(学校や市役所)、河川など公共工事は常に行われています。

民間からの建設工事の受注を目的にすることは大切です。
しかし、民間の建設工事は景気によって大きく左右されることになります。
そのため、できる限り、民間からの建設工事と公共工事の二本柱で建設業の経営を行うことが大切です。

それでは、公共工事に参入するための概要を簡単に説明します。

公共工事に参入するためには次の三つの条件が必要!

 

入札参加資格申請

公共工事には国、都道府県、市町村が発注する工事があります。その工事を受注するには、入札に参加する必要があります。

入札には「一般競争入札」と「指名競争入札」があります。「指名競争入札」は指名業者になるための資格者審査があるため、一般的には「一般競争入札」で公共工事の入札に参加することになります。

流れとしては、公共工事への入札に参加する前に「入札参加資格申請」を行い、入札参加資格認定を受けて、入札参加資格名簿に登録してもらう必要があります。

 

「入札参加資格申請」
→ 入札参加資格認定 → 入札参加資格名簿登録 → 入札参加

 

そして、「入札参加資格申請」に必要な要件に、「経営事項審査(経審)」を受けていることがあります。

 

「経営事項審査(経審)」 → 「入札参加資格申請」

 

さらに、「経営事項審査(経審)」を受けるためには「建設業許可」を取得しておく必要があります。

つまり、公共工事の入札参加資格を取得するためには、許可取得を起点として、順番に取得しておく必要があるのです。

 

「建設業許可」→ 「経営事項審査(経審)」 → 「入札参加資格申請」
 → 入札参加資格認定 → 入札参加資格者名簿登録 → 入札参加

 

 

経営事項審査(通称:経審)

経営事項審査とは、公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者が、必ず受けなければならない審査です。

略して経審と呼ばれています。

経営事項審査というのは建設業法で定められている建設業者の経営状況や経営規模を客観的に数値化したもので、建設業者としての成績表のようなものです。

経営事項審査には以下の四つの指標
①経営規模の認定(X)
②技術力の評価(Z)
③社会性の確認(W)
④経営状況の分析(Y)

 

上記、経営状況分析(Y)の結果と経営規模等評価(X、Z、W)の結果により算出した各項目を総合的に評価したものが総合評定値(P)となります。

経営事項審査の結果は「一般財団法人 建設業情報管理センター」のサイトで公表されており、誰でも閲覧することができます。

 

経営事項審査結果

 

実際に「経営規模等評価結果通知書」、「総合評定値通知書」を見てみると、まさに建設業に関する決算報告書をしっかりとまとめたような1枚の通知書になっています。まさしく通信簿ですね。

そして、経営事項審査を申請するためには建設業許可の取得が必要になります。

 

 

建設業許可

入札参加資格申請経営事項審査(経審)のための一番の基礎となるのが建設業許可となります。

公共工事の入札に参入するためには高いハードルが待ち構えています。
その最初のハードルが建設業許可というわけです。

 

 

元請からの要請

 

うちは一人親方の会社で小さな工事しか行わないから、許可は必要ないよ。

行政書士
行政書士

いえいえ。近年は法令順守(コンプライアンス)が重要になってきています。

 

法令遵守(コンプライアンス)の傾向は大企業になるほど強くなりますが、中小企業でも非常に重要になってきています。
その結果、元請業者が下請業者に対して、建設業許可の取得を要請している傾向が見られます。

小さな工事であれば許可は必要ありません。しかし、元請業者にとっては、下請業者が許可を持っているかどうかが、大きな判断材料の一つになってきます。

 

なぜなら、下請業者が建設業許可が必要な規模の工事を受注してしまった場合、無許可業者との契約は監督処分の対象となり、元請業者にも大きなマイナスの影響があるからです。

下請業者が、自社しかできない高い技術力をもっており、他の企業では同様の工事を行えないなどの条件がある場合は別です。しかし、多少の金額の増減で他に建設業許可を持っている建設業者がいれば、監督処分を受けるリスクを回避するために、許可を持っている業者に発注しますよね。

 

そもそも、ほかの業者ではできないような高度な技術力のある業者の場合は、多くの企業から受注が舞い込むので、間違いなく建設業許可は必要になります。

 

安定経営

 

うちは許可なんて取らなくても仕事が取れているから大丈夫。

行政書士
行政書士

今だけを見るのではなく長期的に考えてみてください。
許可をとることはとても大切です。

 

将来の安定経営に向けて公共工事への参入や、元請からの安定した受注の確保のためには、最低限、建設業許可が必要になります。

公共工事への参入は将来的な話としても、日々の受注工事に関しては、建設業許可を取っていなければ、いきなり元請からの注文が無くなるかもしれないのです。

つまり、常にリスクを持っている状態というわけです。

自ら元請けとなって注文を取れる場合であっても、将来的に建設業許可を取得しようと思っている方は、今のうちに取得に向けて動いたほうが望ましいと言えます。

なぜか。建設業の許可申請で提出する書類の中に、これまでの工事の金額を記載する書類があります。建築一式工事以外で500万以上の工事を無認可で請け負った場合であっても、必ず記載しないといけないのです。無認可で請け負ったからといって許可が下りないことはないのですが、印象は悪くなります。

 

取得しない場合のリスク

今は小さな工事しか請け負わないから許可は必要ない。そうお考えの事業主様は考えを変えてください。

建設業許可の取得は、行政書士に依頼した場合でも、1業種の申請であれば50万円もかかりません。

ところが、許可を取得していなければ1億円の受注が無くなるかもしれません。

建設業許可を取得することに悩んでいる方は、建設業許可を取扱いしている行政書士へご相談ください。

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