知事許可と大臣許可の違いを説明できますか?

営業所が2つ以上の都道府県にあるなら大臣許可でしょ。
と単純に思っていませんか?
例えば、業種毎に営業所がわかれていて、それぞれ別々の都道府県にある場合はどうでしょうか。
要するに、2つ以上の都道府県という要件は、会社にかかってくる要件なのか、建設業許可の業種にかかってくる要件なのかご存知ですか?
知事許可と大臣許可の相違点
これから取得する建設業許可として「都道府県知事許可」が必要か「国土交通大臣許可」が必要かの判断をどのようにすればいいのでしょうか。
建設業法には次のように定義されています。
(建設業の許可)
第三条 建設業を営もうとする者は、次に掲げる区分により、この章で定めるところにより、二以上の都道府県の区域内に営業所(本店又は支店若しくは政令で定めるこれに準ずるものをいう。以下同じ。)を設けて営業をしようとする場合にあつては国土交通大臣の、一の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業をしようとする場合にあつては当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は、この限りでない。
一 建設業を営もうとする者であつて、次号に掲げる者以外のもの
二 建設業を営もうとする者であつて、その営業にあたつて、その者が発注者から直接請け負う一件の建設工事につき、その工事の全部又は一部を、下請代金の額(その工事に係る下請契約が二以上あるときは、下請代金の額の総額)が政令で定める金額以上となる下請契約を締結して施工しようとするもの(引用元)建設業法
法律の文言だけで見ると難しそうですが、実際はそうでもないので安心してください。
いまから、「都道府県知事許可」と「国土交通大臣許可」の判断基準を説明していきます。
大きな違いは営業所の数です。
国土交通大臣許可
2つ以上の都道府県に営業所を設けて営業する場合
営業所ごとに業種が違っていても大臣許可が必要になります。
つまり、
「同一の建設業者が都道府県知事許可と国土交通大臣許可を同時に受けることはない」
のです。

都道府県知事許可
1つの都道府県に営業所を設けて営業する場合
「大臣許可」と「知事許可」は
営業する地域や建設工事を施工する地域で判断するのではなく、営業所の所在地で区分されます。
営業所
それでは、ここでいう「営業所」とはどういった定義になっているのでしょうか。
- 本店
- 支店
- 常時建設工事の請負契約を締結する事務所
営業を行う場所を有しており、電話、机、備品等を備えている事が必要です。
つまり、実態のある事務所である必要があります。
細かい要件をみると次の5つのポイントがあります。
- 契約締結等の実体的な業務を行っている。
- 電話、机、備品等を備えた事務所。
- 自宅兼用の場合は明確に居住部分と区分されている。
- 契約締結等の権限を付与された者が常勤している。
- 技術者が常勤している。
かんたんに説明すると
「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」という定義が主となり、「本店」や「支店」はその例外
という位置づけになります。
どういうことかというと、
「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」でなくても「本店」や「支店」は「営業所」に該当する場合があるという事です。
具体的に言うと
例1)
登記上だけの本店所在地がA県にあり、実際の業務の全てはB県で行っている場合、本店には営業の実態はなく、全ての営業はB県で行っていた場合、本店には営業の実態が無く、請負契約を締結する事務所を管理しているわけでもないので、「都道府県知事許可」で問題ありません。
例2)
本店所在地がA県にあり、実際の業務の全てはB県で行っているが、本店はB件の営業所の請負契約に関する事項に関与している場合は、全ての営業はB県で行っていた場合であっても「国土交通大臣許可」が必要になります。
それでは、次に、「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」とはどのような事務所なのでしょうか。
常時建設工事の請負契約を締結する事務所
契約の見積り、入札、契約締結などの請負契約の締結に係る実質的な行為を行う事務所
例えば次の場合は「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」になります。
契約書の名義人が事務所の代表者でなくても、その事務所で請負契約の締結に係る実質的な行為を行う場合
一番見落としそうな点として、
知事許可と大臣許可の相違点のまとめ
2つ以上の都道府県に営業所がある。(業種関係なく)
1つの都道府県に営業所がある。
「都道府県知事許可」と「国土交通大臣許可」の判断基準はお分かりいただけましたでしょうか。
最終的に明確な判断基準はありませんでしたね。
一番細かい基準が「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」という事でしたが、あいまいですね。
このあいまいさが申請を難しくしているといってもいいと思いますが、役所の立場に立つと、このあいまいさが無いと厳密に審査しないといけなくなり、膨大な事務作業が発生してしまうため仕方がないんでしょうね。
すこしでも疑問に思う事があった場合は、役所の担当者に相談するか、建設業に詳しい行政書士にご相談ください。