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監理技術者制度運用マニュアル|国土交通省資料の解説

建設業許可(ガイドライン)監理技術者ガイドライン
この記事は約16分で読めます。

監理技術者制度運用マニュアルって何?

マニュアル内で記載されている趣旨から気になる点を抜粋してみました。

建設業法上重要な柱の一つである監理技術者制度を的確に運用するため、
行政担当部局が指導を行う際の指針となるとともに
建設業者が業務を遂行する際の参考となるもの

 

行政・・・指導・・・指針・・・
なんか気になるね。

監理技術者制度を正しく運用しているかどうか、役所がチェックするための指針ということですね。

それでは詳しく見ていきましょう。

 

監理技術者制度運用マニュアルの解説

監理技術者がどのような役割で、どのような作業を行う必要があるのか、といった運用面に関して国土交通省からの文書を元にして、解説していきます。

監理技術者とは何かから始まって、監理技術者制度運用に関する事項をわかりやすく解説していきます。

すべての内容を確認したい方は、下記をご覧ください。

監理技術者制度運用マニュアル(国土交通省)

 

また、監理技術者制度運用マニュアルを正しく理解するためには、建設業許可の知識が欠かせません。

 

 

建設業法における監理技術者等

建設業法では建設工事を施工する場合、工事現場に主任技術者を置かなければならないとされています。

(主任技術者及び監理技術者の設置等)
第二十六条 建設業者は、その請け負つた建設工事を施工するときは、当該建設工事に関し第七条第二号イ、ロ又はハに該当する者で当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの(以下「主任技術者」という。)を置かなければならない。

(引用元)建設業法

続いて一定規模以上の建設工事の場合は特定建設業が必要となり、工事現場には監理技術者を置かなければならないとされています。

(主任技術者及び監理技術者の設置等)
第二十六条
2 発注者から直接建設工事を請け負つた特定建設業者は、当該建設工事を施工するために締結した下請契約の請負代金の額(当該下請契約が二以上あるときは、それらの請負代金の額の総額)が第三条第一項第二号の政令で定める金額以上になる場合においては、前項の規定にかかわらず、当該建設工事に関し第十五条第二号イ、ロ又はハに該当する者(当該建設工事に係る建設業が指定建設業である場合にあつては、同号イに該当する者又は同号ハの規定により国土交通大臣が同号イに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者)で当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの(以下「監理技術者」という。)を置かなければならない。

(引用元)建設業法

主任技術者、監理技術者となるための要件は、専任技術者の要件と同じです。

 

専任技術者の要件建設業許可【専任技術者】の要件を満たす方法を徹底解説!で詳しく解説しています。

 

追加としては、「当該工事現場における当該建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの」である必要があります。

この点は当然ですね。主任技術者と監理技術者は現場に配置されるためだからです。

第二十六条の二
2 建設業者は、許可を受けた建設業に係る建設工事に附帯する他の建設工事(第三条第一項ただし書の政令で定める軽微な建設工事を除く。)を施工する場合においては、当該建設工事に関し第七条第二号イ、ロ又はハに該当する者で当該工事現場における当該建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるものを置いて自ら施工する場合のほか、当該建設工事に係る建設業の許可を受けた建設業者に当該建設工事を施工させなければならない。

(引用元)建設業法

 

ここで一旦、
専任技術者と主任技術者と監理技術者の違いをまとめておきます。

 

 

専任技術者

営業所に常勤している専任技術者の要件を満たしたもの

詳しくは建設業許可【専任技術者】の要件を満たす方法を徹底解説!をご覧ください。

主任技術者

現場に常勤している専任技術者の要件を満たしたもの(一般建設業)

※一般建設業とは一般建設業・特定建設業の区分で詳しく解説しています。

専任技術者の一般建設業の場合と要件は同じです。

監理技術者

現場に常勤している専任技術者の要件を満たしたもの(特定建設業・指定建設業に注意)

※特定建設業とは一般建設業・特定建設業の区分で詳しく解説しています。

専任技術者の特定建設業の場合と要件は同じです。

 

監理技術者等の設置

工事外注計画の立案

発注者から直接建設工事を請け負った建設業者は、施工体制の整備及び監理技術者等の設置の要否の判断等を行うため、専門工事業者等への工事外注の計画(工事外注計画)を立案し、下請契約の請負代金の予定額を的確に把握しておく必要がある。

1.工事外注計画と下請契約の予定額

元請業者は監理技術者の配置の可否を判断するために「工事外注計画書」を立案しておく必要があり、下請契約の請負代金の予定額を的確に把握しておく必要があるとされています。

要するに、監理技術者の配置可否を判断するために「工事外注計画書」を作成しましょうという事です。

 

監理技術者等の設置

発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者は、下請契約の予定額を的確に把握して監理技術者を置くべきか否かの判断を行うとともに、工事内容、工事規模及び施工体制等を考慮し、適正に技術者を設置する必要がある。

1.監理技術者等の設置における考え方

元請となる特定建設業者は適切な技術者を設置する必要がある。

「工事外注計画書」で算出した金額をもとにし、監理技術者の配置が必要であれば監理技術者を配置することは当然ですが、必ずしも監理技術者を配置する金額に達していない場合であっても、その後の工事の進捗によって、監理技術者の配置が必要になる恐れがある場合は、監理技術者を配置しておくべきであると書かれています。

さらに、下請負金額が小さい工事であっても技術的難易度等により国家資格者の活用が必要になる場合は、元請けの判断で管理技術者の配置を行う必要があるとも記されています。

これらの事から、元請けの責任として建設工事を適切に監理できる人材の配置が求められていることが分かります。

次に、現場に配置する主任技術者や監理技術者の人数ですが、原則1名となっています。

その理由は、現場での責任者を明確にしておくことで情報の集約が図れるためです。

 

2.共同企業体における監理技術者等の設置

共同企業体であっても、各構成員は請負った建設工事を施工するときに監理技術者の設置が必要な金額に達する場合は、監理技術者の設置が必要になります。このとき複数の企業から監理技術者が配置された場合は、代表する監理技術者を明確にしておく必要があります。

共同企業体における監理技術者等の設置については他にも詳細が記載されていますが、共同企業体の構成員は基本的に大きな建設業者であるため、当サイトの対象となる読者の対象外であると思いますので、具体的な記載については監理技術者制度運用マニュアル(国土交通省)をご確認ください。

 

3.主任技術者から監理技術者への変更

当初は監理技術者を配置する必要のある下請け金額ではなかったが、大幅な変更等によって、工事中に下請け金額の増加に伴い、監理技術者を配置する必要が出た場合は、元請けとなる特定建設業者は主任技術者に代えて監理技術者を配置しなければいけません。

当初から将来的に監理技術者を配置する必要がある下請け金額になる可能性がある場合は、はじめから、監理技術者を配置する必要があります。

 

4.監理技術者等の途中交代

建設工事の適正な施行の確保のため、監理技術者等の途中交代は必要最小限にする必要があります。

監理技術者等の途中交代が認められるパターン

  • 真にやむを得ない場合
    →死亡、傷病、出産、育児、介護または退職等
  • 受注者の責によらない理由により工事中止または工事内容の大幅な変更による工期延長の場合
  • 工場から現地へ工事の現場が移行する時
    →橋梁、ポンプ、ゲート、エレベーター、発電機・配電盤等の電機品等の工場製作を含む工事
  • 一つの契約工期が多年に及ぶ場合

 

5.営業所における専任の技術者と監理技術者等との関係

原則として、専任技術者は営業所に常勤している必要があります。

例外的に、特例として、

当該営業所において請負契約が締結された建設工事であって、工事現場の職務に従事しながら実質的に営業所の職務にも従事しうる程度に工事現場と営業所が近接し、当該営業所との間で常時連絡をとりうる体制にあるものについては、所属建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にある場合に限り、当該工事の専任を要しない監理技術者等となることができる。

とされています。

 

監理技術者等の職務

監理技術者等は、建設工事を適正に実施するため、施工計画の作成、工程管理、品質管理その他の技術上の管理及び施工に従事する者の技術上の指導監督の職務を誠実に行わなければならない。

 

監理技術者等の雇用関係

建設工事の適正な施工を確保するため、監理技術者等については、当該建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にある者であることが必要であり、このような雇用関係は、資格者証または健康保険被保険者証等に記載された所属建設業者名及び交付日により確認できることが必要である。

 

1.監理技術者等に求められる雇用関係

監理技術者等の職務は、建設工事の適正な施工を確保する観点から、当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどることである。

そして建設業法では監理技術者、主任技術者の区別なく示されているが、元請、下請それぞれに期待する役割は下記のようになります。

元請が果たす役割(監理技術者)

  1. 施工計画の作成
    1. 建設工事全体の施工計画書等の作成
    2. 下請負人の作成した施工要領書等の確認
    3. 設計変更等に応じた施工計画書等の修正
  2. 工程管理
    1. 建設工事全体の進捗確認
    2. 下請負人間の工程調整
  3. 品質管理
    1. 建設工事全体に関する下請負人からの施工報告の確認
  4. 安全管理
    1. 安全確保のための協議組織の設置及び運営、建設工事全体の労働安全衛生法に基づく措置
  5. 技術的指導
    1. 建設工事全体における主任技術者の配置等法令遵守や職務遂行の確認
    2. 現場作業に係る実地の総括的技術指導
  6. その他
    1. 発注者等との協議・調整
    2. 下請負人からの協議事項への判断・対応
    3. 請け負った建設工事全体のコスト管理
    4. 近隣住民への説明

 

下請が果たす役割(主任技術者)

  1. 施工計画の作成
    1. 請け負った範囲の建設工事に関する施工要領書等の作成
    2. 下請負人が作成した施工要領書等の確認
    3. 元請負人等からの指示に応じた施工要領書等の修正
  2. 工程管理
    1. 請け負った範囲の建設工事に関する進捗確認
  3. 品質管理
    1. 請け負った範囲の建設工事に関する立会確認(原則)
    2. 元請負人への施工報告
  4. 安全管理
    1. 協議組織への参加、請け負った範囲の建設工事に関する労働安全衛生法に基づく措置
  5. 技術的指導
    1. 請け負った範囲の建設工事に関する作業員の配置等法令遵守
    2. 現場作業に係る実地の技術指導
  6. その他
    1. 元請負人との協議
    2. 下請負人からの協議事項への判断・対応
    3. 元請負人等の判断を踏まえた現場調整
    4. 請け負った範囲の建設工事に関するコスト管理
    5. 施工確保のための下請負人調整

 

ここに記載している内容以外にも「監理技術者制度運用マニュアル」にはより詳細な内容が記載されています。
具体的な記載については監理技術者制度運用マニュアル(国土交通省)をご確認ください。

 

2.直接的な雇用関係の考え方

直接的な雇用関係を証明するためには、資格者証、健康保険被保険者証または市区町村が作成する住民税特別徴収税額通知書等によって建設業者との雇用関係が確認できることが必要とされています。

<直接的な雇用関係にならないケース>

  • 在籍出向者
  • 派遣社員

 

3.恒常的な雇用関係の考え方

恒常的な雇用関係を証明するためには、資格者証の交付年月日、若しくは変更履歴又は健康保険被保険者証の交付年月日等により確認できることが必要とされています。

 

4.持株会社化等による直接的かつ恒常的な雇用関係の取扱い

持株会社化等による直接的かつ恒常的な雇用関係の取扱いの特例が定められています。

  • 営業譲渡又は会社分割
  • 持株会社の子会社
  • 親会社及びその連結子会社の間の出向社員
  • 官公需適格組合における組合員からの在籍出向者

 

監理技術者等の工事現場における専任

監理技術者等は、公共性のある工作物に関する重要な工事に設置される場合には、工事現場ごとに専任の者でなければならない。
専任とは、他の工事現場に係る職務を兼務せず、常時継続的に当該工事現場に係る職務にのみ従事していることをいう。
元請については、施工における品質確保、安全確保等を図る観点から、監理技術者等を専任で設置すべき期間が、発注者と建設業者の間で設計図書もしくは打合せ記録等の書面により明確となっていることが必要である。

1.工事現場における監理技術者等の専任の基本的な考え方

公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事については、より適正な施工の確保が求められるため、工事現場ごとに専任の者でなければならない。

 

2.監理技術者等の専任期間

(基本)契約工期

(例外)下記4つ

  1. 請負契約の締結後、現場施工に着手するまでの期間
  2. 工事用地等が未確保、自然災害の発生又は埋蔵文化財調査等により、工事を全面的に一時中止している期間
  3. 工場製作のみが行われている期間
    (橋梁、ポンプ、ゲート、エレベーター、発電機・配電盤等の電機品等の工場製作を含む工事全般)
  4. 工事完成後、検査が終了し、事務手続、後片付け等のみが残っている期間

発注者と建設業者の間で上記期間が設計図書もしくは打合せ記録等の書面により明確となっていることが必要。

 

監理技術者資格者証及び監理技術者講習修了証の携帯

公共工事における専任の監理技術者は、資格者証の交付を受けている者であって、監理技術者講習を過去五年以内に受講したもののうちから、これを選任しなければならない。また、当該監理技術者は、発注者等から請求があったときは資格者証を提示しなければならず、当該建設工事に係る職務に従事しているときは、常時これらを携帯している必要がある。また、監理技術者講習修了履歴(以下、「修了履歴」という。)についても、発注者等から提示を求められることがあるため、監理技術者講習修了後、修了履歴のラベルを資格者証の裏面に貼付することとしている。

 

1.資格者証制度及び監理技術者講習制度の適用範囲

公共工事については資格者証の交付を受け、監理技術者講習を受講したもののうちから選任しなければいけません。

 

2.資格者証に関する規定

資格者証には、本人の顔写真の他に次の事項が記載されています。

  1. 交付を受ける者の氏名、生年月日、本籍及び住所
  2. 最初に資格者証の交付を受けた年月日
  3. 現に所有する資格者証の交付を受けた年月日
  4. 交付を受ける者が有する監理技術者資格
  5. 建設業の種類
  6. 資格者証交付番号
  7. 資格者証の有効期間の満了する日
  8. 所属建設業者名
  9. 監理技術者講習を修了した場合はその旨

 

3.監理技術者講習に関する規定

公共工事の専任の監理技術者として選任されている期間中のいずれの日においても、講習を修了した日から五
年を経過することのないように監理技術者講習を受講していなければならない。

 

施工体制台帳の整備と施工体系図の作成

発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者は、その工事を施工するために締結した下請金額の総額が四千万円(建築一式工事の場合は六千万円)以上となる場合には、工事現場ごとに監理技術者を設置するとともに、建設工事を適正に施工するため、建設業法により義務付けられている施工体制台帳の整備及び施工体系図の作成を行うこと等により、建設工事の施工体制を的確に把握する必要がある。

監理技術者の設定+施工体制台帳+施工体制図→建設工事を適切に施工するため

元請となる特定建設業者は、一定額以上下請に出す場合に、「監理技術者」の設置が必要になります。

さらに、次に2つの整備が建設業法により義務付けられています。

  1. 施工体制台帳の整備
  2. 施工体制図の作成

1.施工体制台帳の整備

特定建設業者は下請負人が法令違反しないように適切に指導しなければいけません。

そのためには、特定建設業者の監理技術者は下請負人を正確に把握するために施工体制台帳を整備しておく必要があります。

 

施工体制台帳の公開

  • 発注者からの請求があった場合、施行体制台帳を閲覧に供しなければいけない。

<公共工事の場合>

公共工事の場合はさらに厳しい条件が課されます。

  • 発注者からの請求があった場合、施工体制台帳を提出しなければいけない。
  • 発注者からの施工体制と施工体制台帳の整合性チェックの元めがっあった場合、拒むことはできない。

 

2.施工体系図の作成

施工体系図を作成し、これを当該工事現場の見やすい場所所に掲げなければいけません。

公共工事の場合は、工事関係者が見やすい場所で、かつ、公衆が見やすい場所に掲げなければならないけません。

 

工事現場への標識の掲示

建設工事の責任の所在を明確にすること等のため、建設業者は、建設工事の現場ごとに、建設業許可に関する事項のほか、監理技術者等の氏名、専任の有無、資格名、資格者証交付番号等を記載した標識を、公衆の見やすい場所に掲げなければならない。

建設業者は「建設業許可に関する事項」「監理技術者に関する事項」を記載した標識を、公衆の見やすい場所に掲げなければいけません。

 

建設業法の遵守

建設業法は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ることによって、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発展を促進し、もって公共の福祉の増進に寄与することを目的に定められたものである。したがって、建設業者は、この法律を遵守すべきことは言うまでもないが、行政担当部局は、建設業法の遵守について、適切に指導を行う必要がある。

国土交通大臣又は都道府県知事は建設業者に対して必要な指導、助言等を行うことができることになっています。

さらに、

建設業者が建設業法や他の法令の規定に違反した場合等において、当該建設業者に対して、監督処分として必要な指示を行うことができます。

また、

この指示に違反した場合等において、営業の全部又は一部の停止を命ずることができます。

おまけに、

この営業の停止の処分に違反した場合等において、建設業の許可を取り消すこととしています。

つまり、法令違反をしてはいけないと言事だね。

下請の法令違反であっても元請が支払等の負担を負う場合があるということも注意が必要です。

 

 

ガイドラインについてどのような解釈で良いかは
必ず役所の担当者に直接確認してください。

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