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発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドライン|国土交通省資料の解説

建設業許可(ガイドライン)法令遵守②ガイドライン
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発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドライン

平成29年8月に建設業法令遵守ガイドラインとして「発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドライン」が策定されました。

この策定の目的は、下記2点の改善です。

  1. 発注者と受注者との対等な関係の構築
  2. 発注者と受注者との公正・透明な取引の実現

 

この改定により、下記の点において具体例の提示がなされました。

  • 発注者と受注者の請負契約について法令違反行為の具体例
  • 発注者と受注者の請負契約について望ましい行為についての具体例

 

詳しい情報は下記の「建設業法令遵守ガイドライン」関連のサイトをご覧ください。

 

今から「発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドラインについてみていきます。

1.見積条件の提示(建設業法第20条第3項)

建設業法 第二十条

建設業者は、建設工事の請負契約を締結するに際して、工事内容に応じ、工事の種別ごとに材料費、労務費その他の経費の内訳を明らかにして、建設工事の見積りを行うよう努めなければならない。
2 建設業者は、建設工事の注文者から請求があつたときは、請負契約が成立するまでの間に、建設工事の見積書を交付しなければならない。
3 建設工事の注文者は、請負契約の方法が随意契約による場合にあつては契約を締結する以前に、入札の方法により競争に付する場合にあつては入札を行う以前に、第十九条第一項第一号及び第三号から第十四号までに掲げる事項について、できる限り具体的な内容を提示し、かつ、当該提示から当該契約の締結又は入札までに、建設業者が当該建設工事の見積りをするために必要な政令で定める一定の期間を設けなければならない。

(引用元)建設業法

 

建設業法上違反となるおそれがある行為事例

①発注者が不明確な工事内容の提示等、曖昧な見積条件により受注予定者に見積りを依頼した場合
②発注者が受注予定者から工事内容等の見積条件に関する質問を受けた際、発注者が未回答あるいは曖昧な回答をした場合

 

建設業法上違反となる行為事例

③発注者が予定価格1億円の請負契約を締結しようとする際、見積期間を1週間として受注予定者に見積りを行わせた場合

上記①及び②のケースは、いずれも建設業法第20条第3項に違反するおそれがあり、③のケースは、建設業法第20条第3項に違反する。

 

見積条件の提示に関する注意点

  1. 見積りに当たっては工事の具体的内容を提示することが必要
  2. 望ましくは、工事の内容を書面で提示し、作業内容を明確にすること
  3. 予定価格の額に応じて一定の見積期間を設けることが必要
    ア) 工事1件の予定価格が 500 万円に満たない工事については、1日以上
    イ )工事1件の予定価格が 500 万円以上 5,000 万円に満たない工事については、10日以上
    ウ )工事1件の予定価格が 5,000 万円以上の工事については、15日以上

 

2.書面による契約締結

2-1 当初契約(建設業法第19条第1項、第19条の3)

建設業法 第十九条 1項

(建設工事の請負契約の内容)
第十九条 建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従つて、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。
一 工事内容
二 請負代金の額
三 工事着手の時期及び工事完成の時期
四 請負代金の全部又は一部の前金払又は出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期及び方法
五 当事者の一方から設計変更又は工事着手の延期若しくは工事の全部若しくは一部の中止の申出があつた場合における工期の変更、請負代金の額の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め
六 天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法に関する定め
七 価格等(物価統制令(昭和二十一年勅令第百十八号)第二条に規定する価格等をいう。)の変動若しくは変更に基づく請負代金の額又は工事内容の変更
八 工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め
九 注文者が工事に使用する資材を提供し、又は建設機械その他の機械を貸与するときは、その内容及び方法に関する定め
十 注文者が工事の全部又は一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期
十一 工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法
十二 工事の目的物の瑕疵かしを担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容
十三 各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金
十四 契約に関する紛争の解決方法

(引用元)建設業法

建設業法 第十九条の三

(不当に低い請負代金の禁止)
第十九条の三 注文者は、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を締結してはならない。

(引用元)建設業法

 

建設業法上違反となる行為事例

①建設工事の発注に際し、書面による契約を行わなかった場合
②建設工事の発注に際し、建設業法第19条第1項の必要記載事項を満たさない契約書面を交付した場合
③建設工事の発注に際し、請負契約の締結前に建設業者に工事を着手させ、工事の施工途中又は工事終了後に契約書面を相互に交付した場合
上記①~③のケースは、いずれも建設業法第19条第1項に違反する。

当初契約における注意点

  1. 契約は工事の着工前に書面により行うことが必要
  2. 契約書面には建設業法で定める一定の事項を記載することが必要
  3. 電子契約によることも可能
  4. 工期の設定時の留意事項
  5. 短い工期にもかかわらず、通常の工期を前提とした請負代金の額で請負契約を締結することは、不当に低い請負代金の禁止に違反するおそれ
  6. 受注者に過度な義務や負担を課す片務的な内容による契約を行わないことが必要
  7. 一定規模以上の解体工事等の場合は、契約書面に更に以下の事項の記載が必要

 

2-2 追加工事等に伴う追加・変更契約(建設業法第19条第2項、第19条の3)

建設業法 第十九条

(建設工事の請負契約の内容)
第十九条 
2 請負契約の当事者は、請負契約の内容で前項に掲げる事項に該当するものを変更するときは、その変更の内容を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。

(引用元)建設業法

建設業法 第十九条の三

(不当に低い請負代金の禁止)
第十九条の三 注文者は、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を締結してはならない。

(引用元)建設業法

 

建設業法上違反となる行為事例

①追加工事又は変更工事が発生したが、発注者が書面による契約変更を行わなかった場合
②追加工事又は変更工事について、これらの工事に着手した後又は工事が終了した後に書面により契約変更を行った場合

上記①及び②のケースは、いずれも建設業法第19条第2項に違反するほか、必要な増額を行わなかった場合には同法第19条の3に違反するおそれがある。

 

追加工事等に伴う追加・変更契約における注意点

  1. 追加工事等の着工前に書面による契約変更を行うことが必要
  2. 追加工事等の内容が直ちに確定できない場合の対応
    発注者は、以下の事項を記載した書面を追加工事等の着工前に受注者と取り交わすこととし、契約変更等の手続については、追加工事等の内容が確定した時点で遅滞なく行う必要がある。
    ① 受注者に追加工事等として施工を依頼する工事の具体的な作業内容
    ② 当該追加工事等が契約変更等の対象となること及び契約変更等を行う時期
    ③ 追加工事等に係る契約単価の額
  3. 追加工事等に要する費用を受注者に一方的に負担させることは、不当に低い請負代金の禁止に違反するおそれ

 

2-3 工期変更に伴う変更契約(建設業法第19条第2項、第19条の3)

建設業法 第十九条

(建設工事の請負契約の内容)
第十九条 
2 請負契約の当事者は、請負契約の内容で前項に掲げる事項に該当するものを変更するときは、その変更の内容を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。

(引用元)建設業法

建設業法 第十九条の三

(不当に低い請負代金の禁止)
第十九条の三 注文者は、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を締結してはならない。

(引用元)建設業法

 

建設業法上違反となる行為事例

受注者の責めに帰すべき事由がないにもかかわらず、当初契約で定めた工期を短
縮し、又は延長せざるを得なくなり、また、これに伴って工事費用が増加したが、
発注者が受注者からの協議に応じず、書面による契約変更を行わなかった場合

上記のケースは、建設業法第19条第2項に違反するほか、必要な増額を行わなかった場合には同法第19条の3に違反するおそれがある。

 

追加工事等に伴う追加・変更契約における注意点

  1. 工期変更についても書面による契約変更が必要
  2. 工事に着手した後に工期が変更になった場合、変更後の工期が直ちに確定できない場合の対応
    発注者は、工期の変更が契約変更等の対象となること及び契約変更等を行う時期を記載した書面を、工期を変更する必要があると認めた時点で受注者と取り交わすこととし、契約変更等の手続については、変更後の工期が確定した時点で遅滞なく行うものとする。
  3. 工期の変更に伴う費用を受注者に一方的に負担させることは、不当に低い請負代金の禁止に違反するおそれ
  4. 追加工事等の発生に起因する工期変更の場合の対応
    追加工事等の発生が伴う場合には、(1)から(3)のほか、「2-2追加工事等に伴う追加・変更契約」に関する記述が該当する

 

3.不当に低い発注金額(建設業法第19条の3)

建設業法 第十九条の三

(不当に低い請負代金の禁止)
第十九条の三 注文者は、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を締結してはならない。

(引用元)建設業法

 

建設業法上違反となる行為事例

①発注者が、自らの予算額のみを基準として、受注者との協議を行うことなく、受注者による見積額を大幅に下回る額で建設工事の請負契約を締結した場合
②発注者が、契約を締結しない場合には今後の取引において不利な取扱いをする可能性がある旨を示唆して、受注者との従来の取引価格を大幅に下回る額で、建設工事の請負契約を締結した場合
③発注者が、請負代金の増額に応じることなく、受注者に対し追加工事を施工させた場合
④発注者の責めに帰すべき事由により工期が変更になり、工事費用が増加したにもかかわらず、発注者が請負代金の増額に応じない場合
⑤発注者が、契約後に、取り決めた代金を一方的に減額した場合

上記のケースは、いずれも建設業法第19条の3に違反するおそれがある。

 

不当に低い請負代金における注意点

  1. 「不当に低い請負代金の禁止」の定義
    発注者が、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を受注者と締結することを禁止するものである。
  2. )「自己の取引上の地位の不当利用」とは、取引上優越的な地位にある発注者が、受注者を経済的に不当に圧迫するような取引等を強いること
    (取引上の優越的な地位とは)
    受注者にとって発注者との取引の継続が困難になることが受注者の事業経営上大きな支障を来すため、発注者が受注者にとって著しく不利益な要請を行っても、受注者がこれを受け入れざるを得ないような場合をいう。
  3. 「通常必要と認められる原価」とは、工事を施工するために一般的に必要と認められる価格
  4. 建設業法第19条の3は変更契約にも適用

 

4.指値発注(建設業法第19条第1項、第19条の3、第20条第3項)

建設業法 第十九条 1項

(建設工事の請負契約の内容)
第十九条 建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従つて、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。
一 工事内容
二 請負代金の額
三 工事着手の時期及び工事完成の時期
四 請負代金の全部又は一部の前金払又は出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期及び方法
五 当事者の一方から設計変更又は工事着手の延期若しくは工事の全部若しくは一部の中止の申出があつた場合における工期の変更、請負代金の額の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め
六 天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法に関する定め
七 価格等(物価統制令(昭和二十一年勅令第百十八号)第二条に規定する価格等をいう。)の変動若しくは変更に基づく請負代金の額又は工事内容の変更
八 工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め
九 注文者が工事に使用する資材を提供し、又は建設機械その他の機械を貸与するときは、その内容及び方法に関する定め
十 注文者が工事の全部又は一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期
十一 工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法
十二 工事の目的物の瑕疵かしを担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容
十三 各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金
十四 契約に関する紛争の解決方法

(引用元)建設業法

建設業法 第十九条の三

(不当に低い請負代金の禁止)
第十九条の三 注文者は、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を締結してはならない。

(引用元)建設業法

建設業法 第二十条

建設業者は、建設工事の請負契約を締結するに際して、工事内容に応じ、工事の種別ごとに材料費、労務費その他の経費の内訳を明らかにして、建設工事の見積りを行うよう努めなければならない。
2 建設業者は、建設工事の注文者から請求があつたときは、請負契約が成立するまでの間に、建設工事の見積書を交付しなければならない。
3 建設工事の注文者は、請負契約の方法が随意契約による場合にあつては契約を締結する以前に、入札の方法により競争に付する場合にあつては入札を行う以前に、第十九条第一項第一号及び第三号から第十四号までに掲げる事項について、できる限り具体的な内容を提示し、かつ、当該提示から当該契約の締結又は入札までに、建設業者が当該建設工事の見積りをするために必要な政令で定める一定の期間を設けなければならない。

(引用元)建設業法

 

設業法上違反となるおそれがある行為事例

①発注者が、自らの予算額のみを基準として、受注者と協議を行うことなく、一方的に請負代金の額を決定し、その額で請負契約を締結した場合
②発注者が、合理的根拠がないにもかかわらず、受注者の見積額を著しく下回る額で請負代金の額を一方的に決定し、その額で請負契約を締結した場合
③発注者が複数の建設業者から提出された見積金額のうち最も低い額を一方的に請負代金の額として決定し、当該見積の提出者以外の者とその額で請負契約を締結した場合

 

建設業法上違反となる行為事例

④発注者と受注者の間で請負代金の額に関する合意が得られていない段階で、受注者に工事に着手させ、工事の施工途中又は工事終了後に発注者が受注者との協議に応じることなく請負代金の額を一方的に決定し、その額で請負契約を締結した場合
⑤発注者が、受注者が見積りを行うための期間を設けることなく、自らの予算額を受注者に提示し、請負契約締結の判断をその場で行わせ、その額で請負契約を締結した場合

上記①から⑤のケースは、いずれも建設業法第19条の3に違反するおそれがある。また、④のケースは同法第19条第1項に違反し、⑤のケースは同法第20条第3項に違反する。

 

指値発注における注意点

  1. 指値発注は建設業法に違反するおそれ
  2. 請負代金決定に当たっては、十分に協議を行うことが必要

 

5.不当な使用資材等の購入強制(建設業法第19条の4)

建設業法 第十九条の四

(不当な使用資材等の購入強制の禁止)
第十九条の四 注文者は、請負契約の締結後、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事に使用する資材若しくは機械器具又はこれらの購入先を指定し、これらを請負人に購入させて、その利益を害してはならない。

(引用元)建設業法

 

建設業法上違反となるおそれがある行為事例

①請負契約の締結後に、発注者が受注者に対して、工事に使用する資材又は機械器具等を指定し、あるいはその購入先を指定した結果、受注者が予定していた購入価格より高い価格で資材等を購入することとなった場合
②請負契約の締結後、当該契約に基づかないで発注者が指定した資材等を購入させたことにより、受注者が既に購入していた資材等を返却せざるを得なくなり金銭面及び信用面における損害を受け、その結果、従来から継続的取引関係にあった販売店との取引関係が悪化した場合

上記①及び②のケースは、いずれも建設業法第19条の4に違反するおそれがある。

 

不当な使用資材等の購入強制における注意点

  1. 「不当な使用資材等の購入強制」の定義
    請負契約の締結後に「発注者が、自己の取引上の地位を不当に利用して、受注者に使用資材若しくは機械器具又はこれらの購入先を指定し、これらを受注者に購入させて、その利益を害すること」
  2. 建設業法第19条の4は、下請契約の締結後の行為が規制の対象
  3. 「自己の取引上の地位の不当利用」とは、取引上優越的な地位にある発注者が、受注者を経済的に不当に圧迫するような取引等を強いること
  4. 「資材等又はこれらの購入先の指定」とは、商品名又は販売会社を指定すること
  5. 受注者の「利益を害する」とは、金銭面及び信用面において損害を与えること
  6. 資材等の指定を行う場合には、見積条件として提示することが必要

 

6.やり直し工事(建設業法第19条第2項、第19条の3)

建設業法 第十九条

(建設工事の請負契約の内容)
第十九条 
2 請負契約の当事者は、請負契約の内容で前項に掲げる事項に該当するものを変更するときは、その変更の内容を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。

(引用元)建設業法

建設業法 第十九条の三

(不当に低い請負代金の禁止)
第十九条の三 注文者は、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を締結してはならない。

(引用元)建設業法

 

建設業法上違反となるおそれがある行為事例

発注者が、受注者の責めに帰すべき事由がないにもかかわらず、やり直し工事を行わせ、必要な変更契約を締結せずにその費用を一方的に受注者に負担させた場合

上記のケースは、建設業法第19条第2項、第19条の3に違反するおそれがある。

 

やり直し工事における注意点

  1. やり直し工事を受注者に依頼する場合は、発注者と受注者が帰責事由や費用負担について十分協議することが必要
  2. 受注者の責めに帰さないやり直し工事を依頼する場合は、契約変更が必要
  3. やり直し工事の費用を受注者に一方的に負担させることは、不当に低い請負代金の禁止に違反するおそれ
  4. 受注者の責めに帰すべき事由がある場合とは、施工内容が契約書面に明示された内容と異なる場合や施工に瑕疵等がある場合

 

7.支払(建設業法第24条の5)

建設業法 第二十四条の五

(特定建設業者の下請代金の支払期日等)
第二十四条の五 特定建設業者が注文者となつた下請契約(下請契約における請負人が特定建設業者又は資本金額が政令で定める金額以上の法人であるものを除く。以下この条において同じ。)における下請代金の支払期日は、前条第二項の申出の日(同項ただし書の場合にあつては、その一定の日。以下この条において同じ。)から起算して五十日を経過する日以前において、かつ、できる限り短い期間内において定められなければならない。
2 特定建設業者が注文者となつた下請契約において、下請代金の支払期日が定められなかつたときは前条第二項の申出の日が、前項の規定に違反して下請代金の支払期日が定められたときは同条第二項の申出の日から起算して五十日を経過する日が下請代金の支払期日と定められたものとみなす。
3 特定建設業者は、当該特定建設業者が注文者となつた下請契約に係る下請代金の支払につき、当該下請代金の支払期日までに一般の金融機関(預金又は貯金の受入れ及び資金の融通を業とする者をいう。)による割引を受けることが困難であると認められる手形を交付してはならない。
4 特定建設業者は、当該特定建設業者が注文者となつた下請契約に係る下請代金を第一項の規定により定められた支払期日又は第二項の支払期日までに支払わなければならない。当該特定建設業者がその支払をしなかつたときは、当該特定建設業者は、下請負人に対して、前条第二項の申出の日から起算して五十日を経過した日から当該下請代金の支払をする日までの期間について、その日数に応じ、当該未払金額に国土交通省令で定める率を乗じて得た金額を遅延利息として支払わなければならない。

(引用元)建設業法

 

望ましくない行為事例

①請負契約に基づく工事目的物が完成し、引渡し終了後、発注者が受注者に対し、速やかに請負代金を支払わない場合
②発注者が、手形期間の長い手形により請負代金の支払を行った場合

上記①及び②のケースは、いずれも発注者が受注者による建設業法第24条の5違反の行為を誘発するおそれがあり、望ましくない。

 

支払保留・支払遅延における注意点

  1. 請負代金の支払時の留意事項
    1. 請負代金については、発注者と受注者の合意により交わされた請負契約に基づいて適正に支払われなければならない。
    2. 請負代金の支払方法については、原則として当事者間の取り決めにより自由に定めることができるが、本来は工事目的物の引渡しと請負代金の支払は同時履行の関係に立つものであり、民間約款等においても、その旨が規定されている。
    3. 発注者から受注者への支払は、元請下請間の支払に大きな影響を及ぼすことから、尐なくとも引渡し終了後できるだけ速やかに適正な支払を行うように定めることが求められる。
    4. 民間工事標準請負契約約款の規定に沿って前払金制度あるいは部分払制度(いわゆる出来高払制度)を活用するなど、迅速かつ適正な支払を行うことが望ましい。
  2. 目的物の引渡しを受けた場合には、できるだけ速やかに支払を行うこと
  3. 長期手形を交付しない

 

8.関係法令

8-1 独占禁止法との関係について

建設業法違反の内容により、独占禁止法に抵触する場合もあります。

不当に低い発注金額や不当な使用資材等の購入強制については、建設業法第19条の3及び第19条の4でこれを禁止しているが、これらの規定に違反する上記行為は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号。以下「独占禁止法」という。)第19条で禁止している不公正な取引方法の一類型である優越的な地位の濫用にも該当するおそれがある。

 

8-2 社会保険・労働保険(法定福利費)について

社会保険や労働保険は労働者が安心して働くために必要な制度であり、強制加入の方式がとられている。

このため、受注者には、これらの保険料に係る費用負担が不可避となっている。

これらの保険料にかかる受注者の費用は、労災保険料とともに受注者が義務的に負担しなければならない法定福利費であり、建設業法第19条の3に規定する「通常必要と認められる原価」に含まれるべきものである。

このため、発注者及び受注者は見積時から法定福利費を必要経費として適正に考慮すべきであり、法定福利費相当額を含まない金額で建設工事の請負契約を締結した場合には、発注者がこれらの保険への加入義務を定めた法令の違反を誘発するおそれがあるとともに、発注者が建設業法第19条の3に違反するおそれがある。

 

ガイドラインについてどのような解釈で良いかは
必ず役所の担当者に直接確認してください。

 

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