【建設業許可の全て③】では、取得後の注意点をわかりやすく解説します。
取得すれば終わりじゃないの?
と思われていませんか?
取得したからと言って、その後放置したままだと、許可は切れてしまいますよ。
具体的には
- 更新
- 変更届
- 廃業届
- 標識
- 主任技術者・監理技術者の配置
- 一括下請負の禁止
- 建設業許可証明書
- 帳簿の備え付け
の順番にご紹介していきます。
取得してからも、重要な内容があるので必読ですよ。
許可後の注意点について
建設業許可を取得するのに非常に面倒な申請書類を作成して、ようやく、許可を取得できたとしても、まだ、確認しておくことがあります。
ここでは許可後の注意点を順に説明していきます。
更新
許可の有効期限は「5年」です。
かならず、有効期限内に許可の更新手続きををする必要があります。
そして、申請期限は「許可の満了する日の30日前まで」となります。
有効期限が切れてしまった場合、建設業許可は失効となります。
再取得するためには、新規で許可申請する必要があります。
新規申請中は猶予してもらえるの?
いいえ。
一切猶予してもらえませんので、許可失効中は無許可となります。
その間の工事はどうすれば・・・
すでに許可取得中に契約済の工事は問題なく行えます。
許可が必要となる工事の新規契約ができなくなるんです。
変更届
建設業許可を取得した業者は、法律で決められた事項に変更があった場合に、変更届を提出しなければなりません。
(変更等の届出)
第十一条 許可に係る建設業者は、第五条第一号から第五号までに掲げる事項について変更があつたときは、国土交通省令の定めるところにより、三十日以内に、その旨の変更届出書を国土交通大臣又は都道府県知事に提出しなければならない。(引用元)建設業法
変更届が必要になる事項はいろいろありますので、これからその詳細を説明していきます。
変更届の提出先
変更届の提出先は許可の種類で異なります。
- 大臣許可
- 知事許可
大臣許可
都道府県を経由して国土交通省の地方整備局あてに提出します。
窓口は都道府県、提出先は国土交通省の地方整備局です。
知事許可
主たる営業所の所在地を管轄する土木事務所に提出します。
窓口、提出先共に都道府県です。
それでは、変更届関係で一番ややこしい変更事由について説明していきます。
この変更事由に該当した場合は、変更届を出す必要があります。
変更事由と提出期限
変更事由と合わせて提出期限も重要ですので必ず押さえておいてください。
下記は概要ですので、詳細な要件は役所に問い合わせるか、行政書士に確認する必要があります。
変更事由 | 提出期限 | |
1 | 経営業務の管理責任者に変更又はその氏名に変更があったとき | 変更後2週間以内 |
2 | 専任技術者に変更等又はその氏名に変更があったとき | |
3 | 使用人(営業所長)に変更があったとき | |
4 | 経営業務管理責任者又は専任技術者が欠けた場合 | |
5 | 欠格要件に該当することとなった者があったとき | |
6 | 商号又は名称に変更があったとき | 変更後30日以内 |
7 | 既存の営業所の名称、所在地又は業種に変更等があったとき | |
8 | 資本金額(出資総額)に変更があったとき | |
9 | 役員等に変更があったとき | |
10 | 個人の事業主、支配人又は法人の役員等の氏名に変更があったとき | |
11 | 支配人に変更があったとき | |
12 | 毎事業年度(決算期)を経過したとき(決算の変更届) | 毎事業年度終了後4カ月以内 |
13 | 使用人数に変更があったとき | |
14 | 令第3条の使用人(営業所長)の一覧表に変更があったとき | |
15 | 国家資格者等・監理技術者一覧表の記載技術者に変更があったとき | |
16 | 定款に変更があったとき | |
17 | 健康保険等の加入状況に変更があったとき |
廃業届
廃業届は廃業後30日以内に届け出なければいけません。
廃業届には種類があり、また、廃業届の届出要件もありますので確認していきます。
廃業の種類
廃業には3種類あります。
すべての業種を廃業する全業種廃業や個別の業種を廃業する一部業種廃業です。
- 全業種廃業
- 一部業種廃業①(知事許可+主たる営業所のみ)
- 一部業種廃業②(一部業種廃業①以外)
廃業届の届出要件
廃業届の届け出要件は下記の5つの要件があります。
廃業等の届出事項 | 届出をすべき者 | |
1 | 許可を受けた個人の事業主が死亡したとき | 相続人 |
2 | 法人が合併により消滅したとき | 役員であった者 |
3 | 法人が破産手続開始の決定により解散したとき | 破産管財人 |
4 | 法人が合併又は破産以外の事由により解散したとき | 清算人 |
5 | 許可を受けた建設業を廃止したとき | 法人→役員 |
個人→本人 |
標識
建設業許可を取得すれば証明として店舗と建設工事現場に標識を掲げる必要があります。
店舗用と工事現場用とで形式が異なるので、2種類必要です。(※複数工事している場合はその工事分必要です)
標識は材質の指定はありませんが、堅牢なもので作成しなけばいけません。
それでは、店舗用と工事現場用の標識について説明していきます。
店舗に掲げる標識
店舗に掲げる標識のサイズは「縦35cm以上×横40cm以上」です。
下記の図にあるようなレイアウトになりますので、看板製作時にご確認ください。
一般的には建設業許可の標識で店舗用と看板業者に伝えれば問題ないと思います。
念のため、完成イメージとサイズは事前に確認しておきましょうね。
(引用元)東京都「建設業許可の手引き」
建設工事現場に掲げる標識
工事現場に掲げる標識のサイズは「縦25cm以上×横35cm以上」です。
店舗用と比べて一回り小さい感じです。
工事現場用は図にあるようなレイアウトになりますので、こちらも看板製作時にご確認ください。
一般的には建設業許可の標識で工事現場用と看板業者に伝えれば問題ないと思います。
念のため、店舗用と同様に完成イメージとサイズは事前に確認しておきましょうね。
(引用元)東京都「建設業許可の手引き」
主任技術者・監理技術者の配置
建設業許可を取得している建設業者は建設工事を請負った場合は、必ず、建設現場に主任技術者を配置しないといけません。
これは、元請・下請・金額の大小関係なく必ず必要なんです。
唯一、主任技術者の配置がいらないパターンは、
の場合です。
主任技術者の要件
主任技術者の要件は、一般建設業許可の専任技術者と同じです。
※営業所の専任技術者との兼任は原則できません。
※公共性のある工事の場合は現場に専任として配置する必要があります。
監理技術者の要件
監理技術者の要件は、特定建設業の専任技術者と同じです。
※営業所の専任技術者との兼任は原則できません。
※公共性のある工事の場合は現場に専任として配置する必要があります。
主任技術者に代えて、監理技術者を配置する必要があるのは元請で3,000万円以上(建築一式工事の場合は4,500万円)を下請に出している場合です。
内は一人事務所だけど、大丈夫なの?
営業所の専任技術者との兼任可能な要件がありますので、
その要件を満たしていれば大丈夫です。
一括下請負の禁止
一括下請負とは
工事を請け負った業者が、実質的に工事に関与せず、下請に工事をさせることです。
この請け負った業者というのは「元請」だけとは限りません。
「下請」として請け負った業者が「孫請」に丸投げしても一括下請負の禁止にあたります。
一括下請負の禁止に違反した場合は、重たいペナルティを受ける可能性があります。
国土交通省では「原則として営業停止処分」にする方針のようで、さらに、経営事項審査の完成工事高から一括請負をした工事を除外されることにもなります。
一括下請負は全面禁止なんだね。
唯一の例外があります。
えっあるの?
事前に発注者の書面による承諾を得た場合のみです。
それって、まずないね。
そうですね。
余程のコネクションがない限りないでしょうね。
建設業許可証明書
建設業許可を取得していることの証明を取引先から求められた場合に「建設業許可証明書」を使います。
ただ、建設業許可を取得した際に発行される、「建設業許可書通知書」でも代用可能な場合がありますが、「建設業許可通知書」は再発行されないので、紛失したりした場合は「建設業許可証明書」を取得する必要があります。
用途
建設業許可を取得していることの証明に利用できます。
入札参加資格申請等において建設業許可を取得していることの証明に使用します。
申込先
窓口で申請書を入手できます。
複数枚同時に発行してもらうことも出来ますので、ある程度まとめて取得しておいた方が効率がよいかもしれません。
尚、手数料は1通につきかかります。
帳簿の備え付け
建設業許可を取得した場合、請負契約の内容を管理した「帳簿」と「営業に関する図書」を営業所ごとに保存しなければないけません。
帳簿
帳簿の内容は下記のようになります。
(引用元)国土交通省 東北地方整備局 建設業法令遵守推進本部 建設業法令遵守指導監督室 建設業法令遵守ハンドブック
保存期間
② ①以外の建設工事 : 5年間
営業に関する図書
図書の種類
① 完成図
② 発注者との打ち合わせ記録
③ 施工体系図
保存期間
10年間
建設業許可は取得してからも適切に書類等を管理していかないといけないんだね。
そうなんです。
将来的に公共工事の受注を目指す場合は必須ですね。
自分で全部管理するのは自身がないなぁ
そのときはお近くの行政書士にご相談ください。