経営事項審査をかんたんに説明します。
・経審って必ず必要なの?
・経審って建設業許可と関連あるの?
という疑問をお持ちではありませんか?
そこでこの記事ではそんな経営事項審査がよくわからないという方を対象に、わからいやすく解説していきます。
具体的には
- 経営事項審査とは
- 経営事項審査の項目と総合評定値
- 経営事項審査の申請
- 経営事項審査のまとめ
の順番にご紹介していきます。
建設業許可を取得したら経営事項審査の意味だけでも理解しておいた方がよいですよ。
経営事項審査とは
経営事項審査というのは、公共事業を発注者から直接請負うために取得しておかなければならない審査です。
(経営事項審査)
第二十七条の二十三
公共性のある施設又は工作物に関する建設工事で政令で定めるものを発注者から直接請け負おうとする建設業者は、国土交通省令で定めるところにより、その経営に関する客観的事項について審査を受けなければならない。
2 前項の審査(以下「経営事項審査」という。)は、次に掲げる事項について、数値による評価をすることにより行うものとする。
一 経営状況
二 経営規模、技術的能力その他の前号に掲げる事項以外の客観的事項
3 前項に定めるもののほか、経営事項審査の項目及び基準は、中央建設業審議会の意見を聴いて国土交通大臣が定める。(引用元)建設業法
建設業法を見ると、経営事項審査には数値評価が行われ、「経営状況」と「経営規模、技術的能力、その他客観的事項」を元に判断されるという事がわかります。
経営事項審査の項目と総合評定値
先ほど、【経営事項審査には数値評価が行われ、「経営状況」と「経営規模、技術的能力、その他客観的事項」を元に判断される】と書きましたが、具体的にはどのような数値項目で評価されるのでしょうか。
ここからは、各評価項目の意味を具体的に説明していきます。
総合評定値(P)
総合評定値(P)とは、経営状況(Y)の結果と経営規模等評価(X1、X2、Z、W)の結果により算出した各項目を総合的に評価するものです。
具体的な計算式は下記の通りです。
(上限:2,143 下限:-18 小数点以下四捨五入)
X1、X2、Y、Z、Wとよくわからない記号が出てきていますが、それぞれの意味をこれから説明していきます。
- X:経営規模
- Y:経営状況
- Z:技術力
- W:社会性
各記号の前の掛け算の値は全体に対する割合になります。
つまり、総合評定値(P)に影響を与えるのは
- X:経営規模・・・40%
- Z:技術力 ・・・25%
- Y:経営状況・・・20%
- W:社会性 ・・・15%
となり、経営規模が大ききれば総合評定値(P)は高くなります。
大企業であれば総合評定値(P)が高くなり、零細企業だと小さくなる(上限が低い)なんだね。
まぁ、感覚的にはそんなところですね。
技術力が無くて、経営不安点で大企業というのはあまりないですからね。
経営規模(X1)※全体の25%のウェイト
完成工事高(業種別)
許可を受けた建設業の業種毎の直前 2 年又は直前 3 年の年間平均完成工事高をもと算出する。
最大:2268(1,000億円以上の場合)
経営規模(X2)※全体の15%のウェイト
X2 =(自己資本額の点数+利益額の点数)÷ 2
自己資本額
自己資本の額、又は平均自己資本額(2期平均)をもとに算出する。
最大:2114(3,000億円以上の場合)
利益額
利払前税引前償却前利益(営業利益+減価償却実施額)の 2年平均の額をもとに算出する。
最大:2447(300億円以上の場合)
経営状況(Y)※全体の20%のウェイト
ここからは詳細確認する程度にしておいて、細かい数値は知っていても活用することが難しいので、こんなものなんだという程度の理解で充分です。
経営状況(Y)の評点=1.67×経営状況点数(A)+583
経営状況点数(A)=-0.4650×(Y1)-0.0508×(Y2)+0.0264×(Y3)+0.0277×(Y4)
+0.0011×(Y5)+0.0089×(Y6)+0.0818×(Y7)+0.0172×(Y8)+0.1906
目がチカチカする計算だね。
まだまだ、上記の式に当てはめるために個別の計算式がありますよ。
純支払利息比率(Y1)※Y全体の29.9%のウェイト
(支払利息-受取利息配当金)÷売上高×100
(上限:5.1%、下限:-0.3%)
負債回転期間(Y2)※Y全体の11.4%のウェイト
(流動負債+固定負債)÷(売上高÷12)
(上限:18.0ヶ月、下限:0.9ヶ月)
総資本売上総利益率(Y3)※Y全体の21.4%のウェイト
売上総利益÷総資本(2期平均)×100
(上限:63.6%、下限:6.5%)
売上高経常利益率(Y4)※Y全体の5.7%のウェイト
経常利益÷売上高×100
(上限:5.1%、下限:-8.5%)
自己資本対固定資産比率(Y5)※Y全体の6.8%のウェイト
自己資本÷固定資産×100
(上限:350.0%、下限:-76.5%)
自己資本比率(Y6)※Y全体の14.6%のウェイト
自己資本÷総資本×100
(上限:68.5%、下限:-68.6%)
営業キャッシュフロー(Y7)※Y全体の5.7%のウェイト
営業キャッシュ・フロー÷1億(2年平均)
(上限:15.0億円、下限:-10.0億円)
利益剰余金(Y8)※Y全体の4.4%のウェイト
利益剰余金÷1億
(上限:100.0億円、下限:-3.0億円)
技術力(Z)※全体の25%のウェイト
Z =技術職員数の点数×0.8+元請完成工事高の点数×0.2
技術職員数(業種別)
許可を受けた建設業の種類毎に次の算式により「技術職員数値」を算出する。
技術職員数値=1級監理受講者数×6
+1級技術者数×5
+基幹技能者数×3
+2級技術者数×2
+その他技術者数×1
最大:2335(15,500人以上の場合)
元請完成工事高(業種別)
許可を受けた建設業の種類毎の直前 2 年又は直前 3 年の年間平均元請完成工事高をもとに算出する。
最大:2491(1,000奥苑以上の場合)
社会性(W)※全体の15%のウェイト
W=(W1+W2+W3+W4+W5+W6+W7+W8+W9)×10×190/200
労働福祉の状況(W1)
雇用保険加入の有無、健康保険及び厚生年金保険加入の有無、建設業退職金共済制度加入の有無、退職一時金制
度又は企業年金制度導入の有無、法定外労働災害補償制度加入の有無により算出する。
建設業の営業年数(W2)
建設業の許可又は登録を受けて営業を行っていた年数をもとに算出する。
防災協定締結の有無(W3)
国、特殊法人等又は地方公共団体との間で災害時の防災活動等について定めた防災協定を締結している場合に 15点加点される。
法令遵守の状況(W4)
審査対象年に建設業法第28条の規定により指示され、又は営業の全部若しくは一部の停止を命ぜられたことがある場合に減点される。
建設業の経理に関する状況(W5)
「建設業経理状況=監査受審状況の点数+公認会計士等数の点数」で算出する。
研究開発の状況(W6)
研究開発費の額の平均の額をもとに算出する。
建設機械の保有状況(W7)
建設機械の保有台数より算出する。
ISOの登録状況(W8)
ISO規格登録の状況により算出する。
若年技術者の育成及び確保の状況(W9)
若年技術者の人数と前回審査時の技術職員名簿人数から増加した若年技術者の人数により算出する。
経営事項審査の申請
経営事項審査の申請先は知事許可は都道府県の申請窓口、大臣許可は国土交通省の各地方整備局になります。
申請の流れ
経営状況分析(Y)の取得
①経営状況分析の申請
(経営状況分析機関)
②経営状況分析結果通知書
経営規模等評価(X・Z・W)総合評定値(P)の取得
③経営規模等評価の申請・総合評定値の請求
(都道府県・国土交通省)
④経営規模等評価通知書・総合評定値通知書
申請費用
経営状況分析申請(Y)
各登録経営状況分析機関が個別に設定しています。
詳しくは、申請を行う先の登録機関にお問い合わせ下さい。
経営規模等評価申請(X・Z・W)
8,100円に審査対象建設業(審査を受けようとする業種)1種類ごとに2,300円を加算した額。
例)1業種:10,400円、5業種:19,600円
総合評定値の請求(P)
400円に審査対象建設業(審査を受けようとする業種)1種類ごとに200円を加算した額。
例)1業種:600円、5業種:1,400円
経営事項審査のまとめ
なんだかんだでめんどくさそう。
ここでは概要説明だけですが、実際の申請となると申請書類の準備が必要になります。
要件とかあるんですよね。
はい、申請書類に必要な要件が別途ありますので、準備が重要です。
経営事項審査のポイント
- 建設業許可を取得しておく必要がある。
- 経営状況分析申請(Y)は申請機関に事前に申請して取得しておく必要がある。
- 経営規模等評価(X・Z・W)と総合評定値(P)は都道府県の窓口に申請し取得する。